近年では、使っていない家を他人に貸して、民泊やレンタルスペースとして利用してもらうビジネス(Airbnbなど)が流行しています。無駄になっている不動産を活用し、そこからお金を生み出せるのは大きな魅力です。地方でも古民家再生など、増え続ける空き家を活用する動きが見られるようになりました。
しかし、その結果として発生しているのがゴミ問題です。空き家をどのような用途で使っているにせよ、そこで出たゴミは適切に処理しなければなりません。業者の利用を考えている方も多いと思われますが、どのような点に注意すればいいのでしょうか。ここでは、ゴミ回収を業者に頼むメリットとデメリットを解説します。
■外国人観光客の増加により、民泊の需要は高まっている
2011年以降、日本を訪れる外国人観光客(インバウンド旅行者)の数は、断続的に増加しています。特に2015年以降は、地方での伸びが目立つようになりました。三大都市圏のみならず、地方の魅力も外国人観光客に認知されてきているといえるでしょう。それに伴い、特に地方部で宿泊施設の不足が顕著になり、民泊の需要が高まっています。
また、外国人観光客のニーズの変化も無視できません。近年では「旅館に泊まって景勝地をめぐる」という従来のスタイルよりも、日本の自然や文化を体験するアクティビティ中心のスタイルが人気を集めています。「暮らすように旅をする」ことを求める旅行者も多く、民泊が大いに注目されているのです。
さらに、社会問題化している空き家・空き室の増加の解決策としても、民泊には期待が寄せられています。地方活性化のためには、なくてはならない存在といえるでしょう。所有者・管理者の側でも、民泊の環境を整えていく必要があります。
【参考】
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/sl_info/working_papers/pdf/report20190215.pdf
■民泊事業で出たゴミは集積場に捨てられない!
民泊の利用者が増加するにつれ、残念ながらトラブルも発生するようになりました。特に多いのが、民泊で出るゴミをめぐる問題です。しかしこれは、「外国人観光客がゴミを分別してくれない」というような、よくあるトラブルとは少し性質が異なります。
民泊事業の運営者が強く認識しておかなければならないのは、「民泊事業で出たゴミは一般の集積場に捨てられない」ということです。ゴミは出た場所によって数種類に分けられ、民泊で出たゴミは「事業系一般廃棄物」に該当します。このタイプのゴミは、自治体のクリーンセンターなどに自分で持ち込むか、専門業者に回収してもらうよう法律で定められているのです。
もしルールを無視してゴミを出し続ければ、周辺住民とのトラブルは避けられません。さらに、廃棄物処理法違反(不法投棄)の罪に問われるおそれもあります。安定して民泊事業を営むためにも、ゴミは適切な方法で処理しなければならないのです。
■ゴミ回収を業者に頼むメリット・デメリット
民泊で出たゴミを正しく処理するためには、やはり専門業者の利用を検討する必要があります。とはいえ、ごく小規模な営業形態であれば、自力で処理することも可能かもしれません。判断材料として、業者にゴミ回収を依頼した場合のメリットとデメリットを知っておきましょう。
メリット
最大のメリットは、ゴミ出しの手間がかからないことです。家まで取りに来てくれるので、ゴミを自力でクリーンセンターに運ぶ必要がなく、細かい分別も任せられます。一般の集積場のように回収日も制限されていないため、日程をうまく調整すれば、大量のゴミでも即日処分可能です。
デメリット
業者にゴミ回収を依頼すると、どうしても費用がかかってしまいます。また、回収後に法外な追加料金を請求するような、悪質な業者も少なからず存在しており、騙されないように注意しなければなりません。許可を得ている業者なのか、料金は適正なのかといった点は、しっかりと確認する必要があるでしょう。
■今回のまとめ
民泊の需要は年々高まっており、東京オリンピックが開催される2020年には、最高潮に達すると考えられます。しかしながら、ゴミ問題をはじめとするトラブルも多く、所有者・管理者は責任を持って対応しなければなりません。今のうちに準備を整え、健全な民泊事業を行えるよう努めましょう。